エリート・スポーツとスポーツ・フォー・オール。決してピラミッド状ではない

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どうもハルトです。みなさん今日も元気に走っていますか?

先日、こんなことがありました。

ポカ丸「ハルト先輩ってスゴイ走っているけど、マラソンのタイムはどれぐらいなの?」

ハルト「うん。2時間台の後半だよ」

ポカ丸「へええ。サブスリーランナーって言うほどたいしたことないんですね。川内優輝選手が2時間10分ぐらいで走るから、40分も遅いじゃないですか」

……じゃあ、お前、走ってみろ。

ど素人が2時間台で走ることが、どれだけ大変か。ポカ丸。クヌヤロめ。

よくオリンピック選手のようなマラソンランナーのことを、ピラミッドの頂点にいると比喩的に表現したりします。

ピラミッドというのは漢字すると金字塔といいます。非常にすぐれた訳語だと思っています。

これがピラミッドです。これを漢字一文字で表現するとしたら、『金』という文字以外にありえません。

ドバイのブルジュ・ハリファがいくら高くても、近代建築には寿命があります。日本のビルの寿命は築30年とか言われています。まあ100年もてば上出来でしょう。そして100年の間、世界一の座を守りつづけることはできないでしょう。

しかしピラミッドは約4500年前に建てられたと言われています。そして人類は、このような建造物をもう二度と作ることはできないでしょう。どちらが金字塔(後世に残る偉大な業績)かは言うまでもありません。

……おっと、ピラミッド愛がすごすぎて話がのっけからそれてしまいました。

よくスポーツの話をする時に、選手層の比喩的表現としてピラミッドが使われるのです。

ピラミッドの底辺にいるのが市民ランナー。ホビー(趣味)スポーツ。みんなのスポーツ(スポーツ・フォー・オール)。

ピラミッドの頂点にいるのがオリンピアン(オリンピック選手)。エリートスポーツ。プロ選手。ワールド・レコード。

日本体育大学のようなスポーツ系の大学の講義では、ます初っ端からこのように教わることと思います。

しかし私が市民ランナーとしても、またライターとしてもかかわったマラソンの世界では、選手層は決してピラミッド状ではありませんでした。

市民マラソン大会を実際に応援したことがありますか?

実際には、このような分布でランナーはゴールに駆け込みます。

まず優勝者がゴールします。ポツンとひとりで。

川内優輝選手のような世界陸上クラスの選手の場合、ひとりで走っていたのかと思うぐらい、後続はしばらく来ません。

ずいぶん長い間たって、次の選手が来ます。しかしその選手も単独です。

その次もしばらく誰も来ません。そしてポツンとまた一人、選手がゴールします。

その後、ポツリ、ポツリと数人がゴールして、エリートの集団が過疎地の限界集落のような人口密度でゴールします。

2時間30分ぐらいで女子の優勝者がゴールします。その周りの男たちはほぼプロかセミプロ。実業団選手たちがゴールした後、しばらく過疎状態がまた続き、2時間40分を過ぎたぐらいでようやく集団がゴールし始めます。それが市民ランナーのトップクラスです。

ポカ丸は実際に市民ランナーたちがゴールしているところを見たこともないので、いわゆる選手層がピラミッド状になっていると勝手に思い込んでサブスリーランナーを「そんなに上位じゃない」と言ったのでしょうが、そうではないのです。

ピラミッド状の選手層というのは幻想です。

トップ選手は突出しています。宙に浮いたような存在です。

またスポーツ系の大学の講義では「ピラミッドが高いためには底辺の長さが必要であるように、底辺の趣味スポーツの人口が増えることが、ピラミッドの頂点にいるエリート選手がより好記録を出すためには必要である」みたいなことがよく言われるわけです。

これは本当かな、と私は思います。

だって支えてませんもん。トップ選手は宙に浮いているんですよ?

後ろから押していませんもん。一人だけポツンと突出しているんですから。。。

もちろん無人島で自己ベストを更新するスポーツ選手なんかいません。「見てくれる人」「支えてくれる人」「お金をくれる人」「賞賛してくれる人」は絶対に必要です。

ただ、それをピラミッドを引き合いにして表現することに違和感があると言っているだけです。

もうひとつピラミッド表現の違和感というのは、市民マラソンの世界の選手分布は、大きな獲物を飲み込んだヘビのような分布だということです。

4時間30分ぐらいのタイムでゴールする人がもっとも多く、そこまではグラフ化すればピラミッド状を描きますが、その後も逆三角形状にランナーは続きます。

とくにランニング業界にとって、市民ランナーは靴やウェアを買ってくれる「お客様」なわけですが、初心者ほど「上客」です。私の周りの走友を見ても、これは間違いありません。

私ももっともお金をつかったのは初心者の頃です。いくらクルマ好きでもフォードやフェラーリやフォルクスワーゲンやホンダやスバル全社のオーナーになることは無理ですが、一足1万円強のランニングシューズなら全社乗りこなすことができます。

ミズノもアシックスもアディダスもニューバランスもサッカニーもブルックスもプーマもナイキも厚底からフラグシップモデルまであらゆるシューズを買って走りまくりました。

ところがサブスリークラスになるともう自分にあうシューズがわかっているので、浮気しなくなります(いろいろなシューズを試し履きしなくなります)。あまりお金を使わなくなるのです。

つまり「お客様」あっての「エリート選手(の年収)」だというのであれば、やはり新たに始める人・初心者を無視するべきではありません。

つまり逆三角形の部分を無視するべきではないのですから、ピラミッドで比喩すべきではないということです。

ポカ丸がいうように、サブスリーランナーは遅くはありません。

箱根駅伝に出場したような人でも、中年になってランニングを再開したら、全くサブスリーに手が届かないという人はいます。

私の師匠は「瀬古が1年全く走らず、おれが1年走り込んだら、瀬古にだって勝てる」とおっしゃっていました。

これが真実なのだと思っています。

スポーツ科学科の教授はちゃんと現状を見て講義しているのか。

統計、グラフしか見ていないからピラミッド状という表現を使うのではないか。

ふとそう思ったので、市民スポーツはピラミッド状ではないということを書いてみました。

マラソン業界ほど他のスポーツのことは詳しくないのですが、ほかのありとあらゆるスポーツでも同じことなのではないでしょうか。

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プロフィール


温人ハルト。雑誌『ランナーズ』等に執筆歴のある物書き。サブスリーランナー。グランドスラム達成者(100kmサブテン。富士登山競争登頂)。スイス・ブライトホルン。台湾・玉山。南アルプス全山縦走など登山歴も豊富。キャンプ・車中泊マニア。西天取経の旅人

このサイトについて

はたして放浪のバックパッカーは社会復帰できるのか!? 自由と社会との折り合いを模索するブログです。

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