はじめてのケイリン

自転車・ロードバイク
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ロードバイク乗りなら興味をもたないわけにはいかない。それがケイリンである。

こんにちは、ハルト@sasurainorunnerです。

ここでは競輪場の体験記をお送りしています。

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はじめてのケイリン。

妻イロハを競輪に誘ったら、ものすごく嫌がった。

イロハ「絶対、行きたくない~」

ハルト「え? 何でよ?」

イロハ「だって競輪って賭け事だよ。どうせオジサンしかいないよ。女子なんて誰もいないよ。いやだ~。行きたくない~」

まあ確かに女性はいないかもしれないなとなんとなく僕も思った。

しかし僕は賭けがしたいのではない。速い自転車が見たいのである。自分と比べて賞金何億の人たちがどれだけ速いのか、それがこの目で見てみたい。

競輪場に、みなさんは行ったことがあるだろうか。

僕は行ったことがなかった。はじめての競輪である。

行ったことはないが、おそらくオッサンしかいない予感がする。

イロハの予想は当たりだろうな~

イロハが嫌がっているのは、女性が自分しかいなくて居心地が悪そう、というだけではなかった。

そもそも彼女はそんなことには慣れっこなのだ。

ラーメン屋や松屋や吉野家のようなどんぶり屋に二人でしょっちゅう行っているが、ほぼ女性はいない。たいてい男ばかりだ。

それを指摘すると、

「賭け事が嫌いなのよ、私」

とイロハは言った。

「あれほどベガスが気に入っていたのに…」

と言いかけたがそれはやめておいた。

ラスベガスのカジノは、日本の公営ギャンブル場よりはディズニーランドに近い。全く別物なのだ。

しかし僕は凄いスピードで走る自転車がどうしても見たかった。

同じ下ハン握りのロードバイク乗りとしては、競輪に興味をもたないわけにはいかない。

あのピストバイクがどれほど走るのか。

別に金をかけなくたっていいのだ。見ているだけでも十分楽しめる。

自転車を見に行こう。

そう言ってイロハを口説き落とした。

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脚を見れば、体幹を見れば、フォームを見れば、誰が速いのかわかる

自転車を見るだけならば、幕張のサイクルモードに何度も一緒に行っているのだから、反対する理由はない。

しかし僕の本心は、見るだけではなく、賭けるつもりでいた。

勝てる気がする。競馬や競艇じゃ誰が勝つかわからないが、自転車ならば誰が勝つかわかる

すくなくとも自転車に関してはド素人ではない。走っている選手を見れば、およそ誰が勝つかわかるはずだ。

すくなくとも市民レベルのロードレース大会に参加してきた経験から、選手の体形を見ればどっちが速いかたいてい外れずに当てることができる。

脚を見れば、体幹を見れば、フォームを見れば、誰が勝つかわかるのだ。

その予想に金をかけてもいいだなんて、百発百中のウハウハ状態ではないだろうか。

競輪場から帰ってきたら、僕は大金持ちになっているのではないだろうか。そんな気がする。

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松戸競輪場には、外国人観光客がたくさんいた

北松戸駅から歩いて行ける場所に松戸競輪場はあった。

会場はイロハが想像した通り、オッサンばかりである。

おそらく競馬と同じ人種が集まっているのだろう。

赤鉛筆を耳に刺したオッサンが競馬新聞片手に、、、あの雰囲気がそのまんまである。

服装も同じだ。においもおなじである。貧困と堕落と酒の匂いがする。

イロハがすぐにでも帰りたそうにしているので手をつないで中に入った。

男連れとわかれば、それほど気後れせずに済むはずだ。別に女人禁制の場所ではない。どんぶり屋と同じである。

中山競馬場などでは女性や家族連れが観戦しに行くというではないか。

ケイリンだってやがてはそうならなくてはならないはずだ。

もうすでにレースが始まっていた。目の前をものすごい勢いで自転車が走っていく。

ラスト一周で鐘が鳴らされ、勝負は決した。

「てめえバカヤロー。八百長野郎。帰れコノヤロー」

客席からオッサンがものすごい罵声で怒鳴っている。悪態の限りを大声で叫んでいる。

ちょっと街中ではめったに聞かないような怒鳴り声だった。

イロハがビビってしまっている。

こりゃあ、ここに連れてきたのは失敗だったかな、と思った。

ところが「ぷっ」とイロハが笑ったのだ。

おじさんたちが、あまりにもマジに怒っているので、思わず笑ってしまったらしいのだ。

「生活がかかっているんだね。あのおじさんたち」

僕はちょっとホッとした。

すぐに帰らずに、ちょっと観戦できるかもしれないな。と思った。

怒髪天を衝くオッサンよ、イロハを笑わせてくれてありがとう。

おそらくイロハが「ちょっと見てもいいかな」と思ったのは、思わず笑っちゃうほど切れているオッサンのせいばかりではなかったろう。

「賭け事やるオッサン以外はお呼びでない」場所かと思っていたら、やたらと外国人観光客がいた。

男性ばかりではない。女性もいる。そうとうな数の白人観光客がケイリンを見に来ていた。

なるほど、と僕は思った。

ケイリンというのはオリンピック種目にもなっている日本発祥の自転車競技なのである。西洋にはないものだ。

だからわざわざ外国人観光客が見に来ているのだ。松戸ならば都内からすぐである。

もしかしたらツールドフランスやジロデイタリアのファンが、ニッポンのケイリンを見に来ているのかもしれない。

競輪場がわざわざ外国人が観光のために立ち寄る場所だと知って、イロハもすこしケイリンを見直したようだ。

自分が海外旅行で観光のためにわざわざ立ち寄る場所と同等の価値ある場所と知って、すこし見てみようという気になったらしい。

ハルト「ラスベガスのシルク・ド・ソレイユみたいなもんだな」

イロハ「それ、言い過ぎだからね」

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なんと試走がない。レース前に選手の走る姿を見ることができない

競輪は見るだけでも楽しい。そこがルーレットとは違うところだ。

ルーレットは見てるだけじゃ全く面白くない。賭けてこそ楽しい。

「おれ、賭けてみようと思うんだ」

ケイリンは見ているだけでも楽しい。

しかし賭けたらもっと楽しくなる。もっと真剣に見る。

罵詈雑言のおっさんは賭けに負けてお金を失ったからこそ、あれだけアツくなれたのだ。

一緒に大声を出したければ、自分も賭けなければ。

今日、おれは小金持ちになって帰るのだ。

実際に賭けてみることにした。

イロハよ、夕飯はビュッフェでいいぞ、ラスベガスのように。

ところがここで衝撃的なことがわかった。

試走がないのだ。レース前に選手の走る姿を見ることができないのである。

どんな体形の、どんなフォームの人が走るのか、賭ける前にさっぱりわからない。

これでは私の眼力も使えない。

長年ロードバイクに乗り、ロードレースにも参加してきた。

強豪チームで多くの速い仲間を見てきた。

これまでの経験から、ひと目見れば、誰が強いかわかる自信があった。

しかし試走がないのでは、選びようがない。ただの確率ゲームでしかない。

出走表からわかるのは年齢だけだ。せめて身長、体重が乗っていれば、参考になるのだが。

本当は「競争得点」から過去成績がわかるらしいが、おそらく勝負を分けるのは勝負をかけるタイミングであろう。

レースの距離は2015メートル。自転車からいえば短距離走である。

はじめてなので賭け方がわからなかった。車番と枠番があって、マークシートを鉛筆で塗りつぶして投票券を買う。

まごついていると「ああするんじゃない? こうするんじゃない?」とイロハが教えてくれた。

「どうしてわかるんだよ」

「競馬場に行ったことがあるから。同じでしょ」

出走を待っている間、いろいろイロハと話した。

イロハの弟は一時、競馬にはまっていたらしい。それも借金するほどハマってしまったそうだ。

街金で借金をして、とうとう返済できなくなり、裁判所で適正な利子にしてもらい、なんとか地獄を抜け出したそうだ。

「それでギャンブルが嫌いになったのか?」

「それもあるけど、もともと賭け事が嫌いなんだってば。コツコツ真面目なタイプでしょ、私」

確かに楽して稼ごうというタイプではない。投資をするようなタイプには見えない。

「ハルトってパチンコとか競馬とか賭け事そのものは全然やらないよね。生き方が賭けなのが問題だけど」

ちなみに僕が世界で一番好きな街はラスベガスである。

あの街ではクラップスで勝った。倍掛け法で勝った。

勝った金はすべてジャックポットに捧げてすっからかんになって帰ってきた。

でも日本では一切賭け事をしない。なんでだろう。

たぶん僕が好きなのは賭け事そのものではなく、放浪者としての体験それ自体にあるのだろう。

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心地いいほどあからさまな原始的な感情表現も、競輪場なら許される

年齢だけでは誰が勝つか当てられるものではない。

勝負には負けてしまった。

でも楽しかった。

みんな大声を出して、喜んだり、勝者を讃えたり、悔しがったり、呪いの言葉を吐いたりしている。

罵声も、仕事や家庭のストレス解消なのかもしれない、と僕は思った。

人前であれだけ大声で呪怨の毒を吐く機会は、僕には一生ないかもしれない。

でも競輪場の中なら許される。

大声でよろこび、声を限りに怒る。

それもまた生き甲斐かもしれない。

100円から賭けられる。

トータルでも二人で映画を見るほどのお金は使っていない。それでいて映画を見るよりも面白かった。

会場にいたのは賭けに生きるおっさんばかりであった。

もうすこしサイクルジャージとサイクルパンツのビンディングシューズの男が投票券を買っているかと思ったのだが。僕のようなロードバイク乗りはほぼ見かけなかった。

出走表にせめて身長、体重だけでも乗せてくれ。できれば勝負の前に数周でいいから試走してくれ。

ロードバイク乗りなら、走っているのさえ見れば、誰が勝つか当てることができるから。

選手だってウォーミングアップが必要でしょうに?

ローディーのみなさん、競輪場に行ってみましょう。そして賭けてみましょう。

ケイリンは、ロードバイク乗りに向いています。

ラブコメ映画見るよりずっと面白いぜ。

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プロフィール


温人ハルト。雑誌『ランナーズ』等に執筆歴のある物書き。サブスリーランナー。グランドスラム達成者(100kmサブテン。富士登山競争登頂)。スイス・ブライトホルン。台湾・玉山。南アルプス全山縦走など登山歴も豊富。キャンプ・車中泊マニア。西天取経の旅人

このサイトについて

はたして放浪のバックパッカーは社会復帰できるのか!? 自由と社会との折り合いを模索するブログです。

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