中国を旅したことがある人なら知っているだろうが、無音バイクに急に後ろから追い抜かれて死ぬほどビックリすることが結構ある。
轢かれそうになったことも一度や二度ではない。まったく音がしないためバイクが近くにいることがわからず、ふらふらと蛇行して歩いていようものなら簡単に引っ掛けられてしまう。
観光客にとってはデンジャラスな乗り物である。
自転車なのか、オートバイなのか?
この無音バイクであるが、ペダルがついている。
自転車乗りとしては気になってしょうがないシロモノである。
はたしてこれは自転車なのか、オートバイなのか?
かつて往復30kmの通勤自転車生活を送る羽目になった時、私が真っ先に欲しいと思ったのが、このタイプの自転車であった。


このバイクはどういうシロモノなのか?
どうして日本で普及していないのか?
その二点を中心にレポートしたい。
バイクの正体は「ペダル付き電動スクーター」
この乗り物の正体は「ペダルで漕ぐこともできるEV自転車」である。モーターとバッテリーで動くため無音なのである。
もちろんペダルを回して自転車のように進むこともできる。
充電のバッテリーが切れた場合はペダルで進めばいいのだ。
非常にいいと思いませんか?
通勤のときに使えたら最高だ。
自転車として使えばエコだし、疲れたり、仕事で汗をかくわけにはいかなかったり、遅刻しそうなときは電動バイクモードで走れば、通勤時にこんな便利な乗り物はないのではないか?
どうしてこんな便利そうな乗り物が日本ではお目にかかれないのか?
そこが謎である。
日本ではお目にかかれないのは、官の規制が多いため
この「足漕ぎペダルをもつ電動バイク」であるが、どうやら日本での呼称は「ペダル付き原動機付き自転車」らしい。いわゆる原チャリだ。
原チャリにペダルがついているという法律上の扱いをされているようなのだ。
原動機は付いていないのに(電動モーターで動くから原動機はない)、原付あつかいなのだ。
この便利な自転車が日本でなかなかお目にかかれないのはこの規制のせいらしい。
原チャリ扱いされると、いろいろと面倒なことが生じる。
ペダルで自転車として動く場合も、原チャリなので、免許の携帯が義務付けられる。ヘルメットを着用しなければならない。
ナンバープレートをつけて税金も納めなければならないし、自賠責保険に加入していなければならない。
ウインカーやブレーキランプなどの装備も必要なのだ。
単純な自転車じゃないのだ。
これらの条件がクリアされていなければ、公道での走行が不可なのだそうだ。
これじゃあ売れないし、買わないよ。
規制が多すぎて、面倒くさい。
市民はママチャリ感覚で乗りたいのだ。
市民が楽しく暮らすために、規制緩和をお願いしたい
電動モペットと呼ばれることもあるペダル付き電動バイクであるが、日本の規制の中では流通しにくいことがわかった。
市民は「ちょっと便利な自転車」が欲しいのだ。ウインカーが必須の自転車なんていらない。
オートバイ業界に昔日の勢いがないという。
原チャリが売れないのは、お役所の規制のせいではあるまいか?
『原チャリ速度制限撤廃論』

ロードバイクよりも遅い法定速度30kmの原チャリには何の魅力もない。
でも60kmぐらいは出せるパワーがあるんだから、速度制限さえ撤廃してくれればそれだけで原チャリは売れるようになるぞ。
もちろん普通免許で運転できることが前提で、だ。
それと同じようにこの「ペダル付き電気自転車」も、原チャリ縛りを撤廃して、自転車扱いにしてもらえないものだろうか。
普段使いではママチャリのように漕ぎたいのだ。ガソリンをまき散らすつもりはない。
週末の小旅行とか、ちょっとしたツーリングに行きたい時にだけ電動バイクとして活用したい。
それがハイブリッドのメリットではないか。
今の法規制ではこの人力と電力のハイブリッドというメリットが生かせない。
自転車とオートバイのハイブリッドというメリットが生かせない。
自転車のメリットとは安くてお手軽でエコだということだ。
本場、中国でも実際にはバイクとして利用されていて、自転車として利用されていることは少ないのだが、ウインカーやブレーキランプはない。
そういうものをつけるから本体価格が跳ね上がるし、だったら原チャリでいいじゃん同価格だしってことになってしまう。
そして二段階右折30km速度制限の原チャリは、やはり法規制のせいで魅力のある乗り物ではない。
市民が楽しく暮らすために、規制緩和をお願いしたい。
電動バイクがあれば行動範囲が広がる。遊びに出かけたい場所がぐっと増える。
それが経済活動につながるはずだ。
自転車・バイク業界のためにも、どうか規制緩和をお願いしたい。
政府のみなさん!