別れた恋人にもう一度会いたい時、会うべきか? サマセット・モーム『赤毛』

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『ドラクエ的な人生』とは?

心の放浪者アリクラハルトの人生を走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。小説『ツバサ』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

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昔の恋人のことを思い出すこと、ありますか?

大塚美術館一の美男子

別れた恋人に会ってみたいですか? それとも会いたくないですか?

昔の恋人のことを思い出すこと、ありますか?

ああ。あの人、今、どこで何をしているんだろう。しあわせだろうか。会いたい。もう一度。

ふと、そんな風に思うことはありませんか?

ここではそのようなシチュエーションを描いた文豪サマセット・モームの『赤毛』を紹介して、どうなったかを見ていきます。

あなたと同じ切なさを、文豪も同じように感じているでしょうか?

昔、命を賭けた恋愛をしたかつての恋人に今再会したら、何が起こるのでしょうか。

※筆者自身による読み聞かせはこちらをどうぞ。

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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。

「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」

「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」

※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。

アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

https://amzn.to/44Marfe

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昔をふと思い出して、切ない思いになっちゃった人に贈ります

ああ。あの人、今、どこで何をしているんだろう。

しあわせだろうか。

会いたい。もう一度。

ふと、そんな風に思うことはありませんか?

ここでは同じようなシチュエーションを描いた文豪の作品を紹介して、どうなったかを見ていきます。

あなたと同じ切なさを、文豪も同じように感じているでしょうか?

共感できるか、受け入れられない結末か。

また、街角などで偶然、別れた恋人に出会ってしまった時、どんなことが起こるか、見ていきます。

この記事は、別れた人をふと思い出しちゃった人に向けて書いています。

テキストはサマセット・モーム赤毛』です。

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【書評】モーム『赤毛』別れた恋人との再会した時の反応は?

偶然、別れた恋人に出会ってしまった時、どんなことが起こるか、同じようなシチュエーションがモーム『赤毛』に出てきます。

それは衝撃的な結末でした。あなただけにこっそりお教えします。

主要登場人物3人。非常に読みやすい

①帆船の船長。肥満した男。この男にも駆け回る少年時代があったのだろうか、若い頃はどんな男だったのだろうと思わせるほどの禿げた肥満。

②白人男ニールソン。25年も珊瑚礁のバンガローに住んでいるスウェーデン人。肺病で余命一年と言われ、珊瑚礁ラグーンで本や音楽に生きている。

同じ白人ということもあり、船長とニールソンをウイスキーを飲んで、話しをする。

「どうしてこんなひと気のない場所に住んでいるのですか」と当然のことを船長に問われてニールセンはこたえる。

この場所がこの世ならぬ美しさをたたえているのは、かつてこの場所に愛が足をとめたことがあったからだ、と。

③原住民の娘サリー16歳。「レッド」20歳と恋に落ちる。

火のような赤い髪の毛のギリシア神像のように美しい白人男レッドがこの場所に棲みつく。サリーは一目で恋に落ちる。

この世界を奇跡となし、人生に深い深い意味をあたえるあの愛……

ここには愛がその足をとめたことがあったのだ。

この世のものとは思えない珊瑚の海。椰子が水に映る自分の影を楽しむ入江。

南海というやつは時々人を奇怪な魅力のとりこにしてしまう。

彼らは一日中何もしなかった。

つつましい食事。焼石の上でバナナを焼く。魚、海老、オレンジ、バナナ、椰子、マンゴーの生活。

月明かりの夜の珊瑚礁ラグーン。時間が止まった世界。

そこに文明の捕鯨船がやってきた。

レッドはタバコがほしくなった。精製された文明の香りのするタバコが。

タバコを手に入れようと捕鯨船に向かう。

そこでしこたまウイスキーを飲んで寝ているうちに船は出港してしまった。

騙されたのだ。人手不足の捕鯨船の契約書にサインさせられた。

レッドを失い、サリーは泣き暮らした。鬱で不感な人間になってしまった。

しかし3年後にいまひとりの白人と結婚した。

ほかならぬ肺病を病んで失意にうちひしがれたニールセンその人だった。

ニールソンはサリーの悲しみの瞳に、霊魂の苦悩、神秘の輝きを見た。

サリーに恋をした。

レッドを、すべてを忘れさせて、女を酔わせてみたい。

悲しみの瞳の奥に見た仄かな魂が欲しい。

しかし望みがかなって結婚しても、サリーは泣いてばかりだ。

レッドが忘れられないのだ。

悲しみの魂なんて幻影にすぎなかった。

恋は牢獄に変わってしまった。地獄の呵責だった。

そしてニールソンは希望も何もない不感症に陥ってしまった。

情火はついに燃え尽きた。

もう何十年かをただ習慣と便宜の絆に繋がれて、ふたりは一緒に暮らしてきたのだ。

「残酷な運命をレッドとサリーはむしろ感謝すべきではないか」

ニールソンはいう。

一日会わずにいても耐えらえないほど愛した人に対して、もうこれっきり会わなくても平気だというような心の変化ほど恐ろしい悲劇はないのだから。

愛の悲劇は無関心だから。

ところがその時、ニールソンは目の前の酒ぶくれの船長の中に、影のように美しい若者の影像をチラと見たのだ。

まさか。まさか、そんなことがあるものか……

「であんたのお名前は?」

「人からはレッドと呼ばれている」

その時、部屋にサリーが入ってきた。

慄然。再会のその時が来た。

しかしふたりは互いに気づかず、ひと目チラと見ただけで言葉も交わさない。

その時は来て、そのまま去ってしまったのだ。

食事の誘いも断って船長は帰ってしまった。

あれほど恋焦がれていたはずなのに、お互いに気づきさえしなかった。

おれの幸福を妨げた男があれだろうか。

残酷な神々の戯れだった。そして残されたのは老いさらばえた彼自身の姿だ。

ニールソンはさっきの酒ぶくれの船長が、恋心をそのまま胸に抱いているお前のレッドだとサリーに言ってやろうかと思った。

恋が報われず自分が傷つけられたように、相手も傷つけてやりたかった昔なら、言ったと思う。

憎しみもまた愛に他ならなかったからだ。

だが今はそれもしたくなかった。

サリーは年をとって太った原住民の女になってしまっている。

おれの魂の一切の宝を、この女の足元に投げ出したのだ。だがそれには一顧すらも与えてもらえなかった。

今サリーに感じるのは侮蔑ばかりだった。

ニールソンはもう我慢も何もできなくなった。

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時の流れは残酷。気持ちは去って、二度と戻らない

 

いかがでしたか?

文豪サマセット・モームの描く、恋する人との再会は悲劇的なものでした。

老いて醜く肥えてしまった二人が、互いに気づきもしない、という結末を迎えてしまったようです。

時の流れは残酷なものです。

人を変え、恋心のかたちを変えてしまいます。

気持ちは去って、二度と戻らないものなのです。

ガッカリするぐらいなら、うつくしいカタチのままで。別れた恋人にもう一度会いたいと思っても、会わないことかもしれません。

モームの『赤毛』は、そんなことを教えてくれました。

過去の幻想をはやく捨てて、未来に向けて生きていけということなのかもしれません。

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会わない間に思いつめた恋は、おのれの中で熟成された身勝手な思いこみかもしれない

恋が引き裂かれても、それでも人間は生きていきます。

そうした人たちの中で、ふとした拍子に再会してしまう人たちがいます。

会わない間に思いつめた恋は、おのれの中で熟成された身勝手な思いこみかもしれません。

ひとりよがりの幻想に、人生を賭けない方が身のためです。

南洋の珊瑚礁の恋の伝説を無残に打ち砕いて、サマセット・モームはそのことを私たちに教えてくれます。

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このブログの著者が執筆した純文学小説です。

「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」

「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」

本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

https://amzn.to/3PZ4985

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物語のあらすじを述べることについての私の考えはこちらをご覧ください。

物語のあらすじを紹介することについて
あらすじを読んで面白そうと思ったら、実際に照会している作品を手に取って読んでみてください。ガイドブックを読むだけでなく、実際の、本当の旅をしてください。そのためのイントロダクション・ガイダンスが、私の書評にできたらいいな、と思っています。

私は反あらすじ派です。作品のあらすじ、主題はあんがい単純なものです。要約すればたった数行で作者の言いたかった趣旨は尽きてしまいます。世の中にはたくさんの物語がありますが、主役のキャラクター、ストーリーは違っても、要約した趣旨は同じようなものだったりします。

たいていの物語は、主人公が何かを追いかけるか、何かから逃げる話しですよね? 生まれ、よろこび、苦しみ、死んでいく話のはずです。あらすじは短くすればするほど、どの物語も同じものになってしまいます。だったら何のためにたくさんの物語があるのでしょうか。

あらすじや要約した主題からは何も生まれません。観念的な言葉で語らず、血の通った物語にしたことで、作品は生命を得て、主題以上のものになるのです。

作品のあらすじを知って、それで読んだ気にならないでください。作品の命はそこにはないのです。

人間描写のおもしろさ、つまり小説力があれば、どんなあらすじだって面白く書けるし、それがなければ、どんなあらすじだってつまらない作品にしかなりません。

しかしあらすじ(全体地図)を知った上で、自分がどのあたりにいるのか(現在位置)を確認しつつ読書することを私はオススメしています。

作品のあらすじや主題の紹介は、そのように活用してください。

偉そうに? どうして無名の一般市民が世界史に残る文豪・偉人を上から目線で批評・批判できるのか?
認識とか、発想とかで、人生はそう変わりません。だから相手が世界的文豪でも、しょせんは年下の小僧の書いた認識に対して、おまえはわかってないなあ、と言えてしまうのです。それが年上だということです。涅槃(死。悟りの境地)に近いということなのです。

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私はオーディオブックは究極の文章上達術だと思っています。

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※※他のサマセット・モーム作品についての書評も書いています。よかったらこちらもご覧ください。

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