別れた恋人にもう一度会いたいと思った時に会うべきか否か

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波間に浮かぶボトルの手紙を、インターネットの海に流しました。

このメッセージをあなたが受け取ってくれたのは「奇跡」です。

受け取ってくれて、ありがとう。

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昔をふと思い出して、切ない思いになっちゃった人に贈ります

ああ。あの人、今、どこで何をしているんだろう。

しあわせだろうか。

会いたい。もう一度。

ふと、そんな風に思うことはありませんか?

ここでは同じようなシチュエーションを描いた文豪の作品を紹介して、どうなったかを見ていきます。

あなたと同じ切なさを、文豪も同じように感じているでしょうか?

共感できるか、受け入れられない結末か。

また、街角などで偶然、別れた恋人に出会ってしまった時、どんなことが起こるか、見ていきます。

この記事は、別れた人をふと思い出しちゃった人に向けて書いています。

テキストはサマセット・モーム赤毛』です。

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モーム風・別れた恋人との再会した時の反応は?

偶然、別れた恋人に出会ってしまった時、どんなことが起こるか、同じようなシチュエーションがモーム『赤毛』に出てきます。

それは衝撃的な結末でした。あなただけにこっそりお教えします。

あらすじに対する私の基本的な考え方は以下にまとめてあります。

物語のあらすじを紹介することについて
あらすじは地図のようなものです。読書のだいご味はディテイルにあります。文学にはあなたが感じたけれどうまく表現できなかった思いが表現されているはずです。あらすじを手に、原著に当たってください

主要登場人物3人。非常に読みやすい

①帆船の船長。肥満した男。この男にも駆け回る少年時代があったのだろうか、若い頃はどんな男だったのだろうと思わせるほどの禿げた肥満。

②白人男ニールソン。25年も珊瑚礁のバンガローに住んでいるスウェーデン人。肺病で余命一年と言われ、珊瑚礁ラグーンで本や音楽に生きている。

同じ白人ということもあり、船長とニールソンをウイスキーを飲んで、話しをする。

「どうしてこんなひと気のない場所に住んでいるのですか」と当然のことを船長に問われてニールセンはこたえる。

この場所がこの世ならぬ美しさをたたえているのは、かつてこの場所に愛が足をとめたことがあったからだ、と。

③原住民の娘サリー16歳。「レッド」20歳と恋に落ちる。

火のような赤い髪の毛のギリシア神像のように美しい白人男レッドがこの場所に棲みつく。サリーは一目で恋に落ちる。

この世界を奇跡となし、人生に深い深い意味をあたえるあの愛……

ここには愛がその足をとめたことがあったのだ。

この世のものとは思えない珊瑚の海。椰子が水に映る自分の影を楽しむ入江。

南海というやつは時々人を奇怪な魅力のとりこにしてしまう。

彼らは一日中何もしなかった。

つつましい食事。焼石の上でバナナを焼く。魚、海老、オレンジ、バナナ、椰子、マンゴーの生活。

月明かりの夜の珊瑚礁ラグーン。時間が止まった世界。

そこに文明の捕鯨船がやってきた。

レッドはタバコがほしくなった。精製された文明の香りのするタバコが。

タバコを手に入れようと捕鯨船に向かう。

そこでしこたまウイスキーを飲んで寝ているうちに船は出港してしまった。

騙されたのだ。人手不足の捕鯨船の契約書にサインさせられた。

レッドを失い、サリーは泣き暮らした。鬱で不感な人間になってしまった。

しかし3年後にいまひとりの白人と結婚した。

ほかならぬ肺病を病んで失意にうちひしがれたニールセンその人だった。

ニールソンはサリーの悲しみの瞳に、霊魂の苦悩、神秘の輝きを見た。

サリーに恋をした。

レッドを、すべてを忘れさせて、女を酔わせてみたい。

悲しみの瞳の奥に見た仄かな魂が欲しい。

しかし望みがかなって結婚しても、サリーは泣いてばかりだ。

レッドが忘れられないのだ。

悲しみの魂なんて幻影にすぎなかった。

恋は牢獄に変わってしまった。地獄の呵責だった。

そしてニールソンは希望も何もない不感症に陥ってしまった。

情火はついに燃え尽きた。

もう何十年かをただ習慣と便宜の絆に繋がれて、ふたりは一緒に暮らしてきたのだ。

「残酷な運命をレッドとサリーはむしろ感謝すべきではないか」

ニールソンはいう。

一日会わずにいても耐えらえないほど愛した人に対して、もうこれっきり会わなくても平気だというような心の変化ほど恐ろしい悲劇はないのだから。

愛の悲劇は無関心だから。

ところがその時、ニールソンは目の前の酒ぶくれの船長の中に、影のように美しい若者の影像をチラと見たのだ。

まさか。まさか、そんなことがあるものか……

「であんたのお名前は?」

「人からはレッドと呼ばれている」

その時、部屋にサリーが入ってきた。

慄然。再会のその時が来た。

しかしふたりは互いに気づかず、ひと目チラと見ただけで言葉も交わさない。

その時は来て、そのまま去ってしまったのだ。

食事の誘いも断って船長は帰ってしまった。

あれほど恋焦がれていたはずなのに、お互いに気づきさえしなかった。

おれの幸福を妨げた男があれだろうか。

残酷な神々の戯れだった。そして残されたのは老いさらばえた彼自身の姿だ。

ニールソンはさっきの酒ぶくれの船長が、恋心をそのまま胸に抱いているお前のレッドだとサリーに言ってやろうかと思った。

恋が報われず自分が傷つけられたように、相手も傷つけてやりたかった昔なら、言ったと思う。

憎しみもまた愛に他ならなかったからだ。

だが今はそれもしたくなかった。

サリーは年をとって太った原住民の女になってしまっている。

おれの魂の一切の宝を、この女の足元に投げ出したのだ。だがそれには一顧すらも与えてもらえなかった。

今サリーに感じるのは侮蔑ばかりだった。

ニールソンはもう我慢も何もできなくなった。

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小柳ルミ子さんが天地真理さんを見て泣いていたのを思い出した

いかがでしたか?

文豪サマセット・モームの恋する人との再会は悲劇的なものでした。

老いて醜く肥えてしまったふたりが、互いに気づきもしない、という結末を迎えてしまったようです。

この小説を読んで、私ハルトは、小柳ルミ子さんのことを思い出してしまいました。

「あの人に会いたい」再会系のテレビ番組の中でのことです。

小柳ルミ子さんの全盛期のライバルは天地真理さんだったそうなのですが、当時は天地真理さんの輝きにかなわなくて悔しい思いをしていたそうです。

ところが再会した天地真理さんが醜く肥え太ったオバサンになっていて、歌もまったく歌えないのを見て、小柳ルミ子さんは泣き出してしまいました。

この人が私のライバルだったのかと思うと……。

時の流れは残酷なものです。

人を変え、恋心のかたちを変える。

この切なさ、苦しみはあなたも私も千年前の人も文豪も変わりがありません。

私ハルトも、昔なじんだ人のことをなつかしく思い出すことがあります。

あの時の恋心は変わっていないのではないかと思います。

しかしそれは幻想です。

カタチはすっかり変わっています。

気持ちは去って、二度と戻らないものです。

別れた恋人にもう一度会いたいと思っても、会わないことかもしれません。

ガッカリするぐらいなら、夢は夢のままに。

死の瞬間までうつくしい妄想は永遠に繰り返されます。

文豪サマセット・モーム『赤毛』は、そんなことを教えてくれました。

過去の幻想をはやく捨てて、未来に向けて生きていけということなのかもしれません。

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まとめ

恋が引き裂かれても、それでも人間は生きていく。

何千年も前から。

そうした人たちの中で、ふとした拍子に再会してしまう人たちがいます。

あるいは実際に会ってしまう人もいるでしょう。

何も変わっていないと想像しがちですが、現実には見てもそれと気づかないほど相手は変わっているかもしれません。

そして相手にとっての自分も。

会わない間に思いつめた恋は、おのれの中で熟成された身勝手な思いかもしれません。

ひとりよがりの幻想に、人生を賭けない方が身のためです。

南洋の珊瑚礁の恋の伝説を無残に打ち砕いて、モームはそのことを私たちに教えてくれます。

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プロフィール


サンダルマン・ハルト。雑誌『ランナーズ』等に執筆歴のあるライター。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。サブスリーランナー。グランドスラムの達成者(100kmサブテン。富士登山競争登頂)。スイス・ブライトホルン。マレーシア・キナバル山。台湾・玉山ニイタカヤマ。南アルプス全山縦走など登山歴も豊富。キャンプ・車中泊マニア。アウトドア派の放浪の旅人。現在、仮想地球一周ランニング中。
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