『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬。ヤング・シャフル走法

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どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?

ここでは、沖縄旅の機内の中で読んだ本『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬、の書評をします。

原題は『FINDING GOBI』です。もちろんディズニー映画『FINDING NIMO』のもじりでしょう。作者はディオン・レオナルド氏。砂漠など過酷な場所を走破するエクストリームランナー(ウルトラマラソンランナー)です。ゴビというのは犬の名前であり、彼が走ったゴビ砂漠から命名された人懐こい野良犬の名前です。

この本は名著『BORN TO RUN』などのように「これはランニングの教科書としてもつかえるなあ」という本ではありません。

ランニングの技術的なことは「大股でドタドタ重たく走るのではなく、ストライドを小さく素早いピッチで走るほうが有利である」ということぐらいしか書いていません。

これは私のウルトラマラソン養成講座でいう『ばあちゃん走法(内股ビッチ走法)』のことです。

「一歩で行くか、二歩で行くか、迷ったときには三歩で行け」という私の好きな言葉も同じ内容を別の言葉で語っています。原則として足元は見ないアスファルトの走りでこそ豪速のストライド走法は可能なのであって、オフロードでは基本的にストライド走法はやめたほうがいいでしょう。地面からの最高パワーの反力を受けて飛び上がるストライド走法は固くて真っ平のアスファルト上でこそ可能なバトルモードであって、反力の相手が浮石だったら大転倒してしまいます。

不整地ではどんな地形が足元にあるかわかりませんから、いざというときには障害物を跳び越せるぐらいの伸びしろがあったほうがいいのです。

またウルトラマラソンではスピードよりも疲労しない走りをすることのほうが重要になってきます。そのことは本作中にも出てくるオーストラリアの伝説的なウルトラマラソンランナーであるクリフ・ヤングがすでに証明しています。

ワークブーツを履いた六十一歳のヤングがスピード勝負の世界で若いアスリートに太刀打ちできるはずがありません。そもそもワークブーツを履いて速く走れるわけがないのです。足首の柔軟性はスピードに決定的に重要であり、弘法は筆を選ばなかったかもしれませんが、ランナーはシューズを選びます。

しかしクリフ・ヤングは想定7日間かかる875kmの大レースに見事優勝します。ウサギのように早い勝てるはずのない相手に、「寝ずに走り続ける」カメ走法によって。この走法はヤング・シャフル走法と呼ばれていますが、日本人には「ウサギとカメ走法」と呼んだほうがわかりやすいでしょう。着地の衝撃で体が悲鳴を上げないように、膝を上げずにスリ足のようにして走ります。

「ヤングはオーストラリア国民のすべてを鼓舞する存在となっている。誰が見ても打ち勝てそうにない困難に直面した時、ヤングの物語を思い出すとわずかながら希望がわいてくる」

著者のディオンは困難に陥ります。壁の前でディオンは長距離ランナーらしく同国人クリフ・ヤングの物語を思い出し、心に勇気を取り戻します。

ディオンはレースのコース上にある川の渡渉(エクストリームマラソンにはよくあることです)に差し掛かります。しかし小さな犬のゴビは川を渡ることができません。レースのことだけを考えたら勝手についてきた野良犬のことなど無視して先へと進むべきでしたが、ディオンは引き返して小犬を抱きかかえて川を渡ります。

そのときから物語は次の展開に進みます。ディオンは中国のこの野良犬を住んでいるイギリスに連れて帰ろうとするのです。

本当に野良犬なのか。誰か飼い主はいないのか。狂犬病などの悪い病気はもっていないのか。何もわかりません。それでも「離れがたくなった」という一点だけでディオンはゴビを家族にしようと決意します。

彼が陥った困難というのは「野良犬ゴビが逃げ出していなくなってしまった」ということでした。中国ウイグル地区には他にいくらでも野良犬がいます。その中でどうすれば特定の犬を見つけることができるでしょうか。言葉も通じない遠い異国の地で一匹の野良犬を再び探し出すことなんて不可能なことのように思えます。

だから原題が『FINDING GOBI』なのですね。彼はゴビを探すために、ウラウドファンディングのサイトを立ち上げ、資金を調達し、マスコミの取材を受け、現地のコーディネーターに仕事を依頼し、職場に有給休暇を申請して中国に旅立ちます。西欧人の中国滞在記としての読みごたえも十分あります。

ゴビは身代金めあての誘拐ではないのか? 不安と闘いながらディオンはとうとうゴビをイギリスの自宅へと連れ帰ってハッピーエンドの物語を成し遂げます。

物語の前半こそ「なぜか慕われて」一緒にウルトラマラソンを走ったゴビとのレース模様が描かれますが、後半は「いなくなった」ゴビを探すための冒険のお話になります。

ランニングの話が半分、犬探しの冒険が半分、です。本書はランナーだけでなく、海外旅行好き、動物愛好家にも面白く読める作品です。とくに保健所の犬の殺処分などの問題に関心のある人には読んで損のない本だと思います。

作者自身が言っているように「小さな犬が、なぜか僕を選び、ついてきて、そのまま離れなくなった、という物語」でした。動物好きにはたまらない、心温まる物語です。

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~~このサイトについて~~

比叡山の大阿闍梨(千日回峰行者)様を超える生涯走行距離の中で走りながら感じたことをサブスリーランナーが綴るコラム。

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プロフィール


サンダルマン・ハルト。雑誌『ランナーズ』等に執筆歴のあるライター。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。サブスリーランナー。グランドスラムの達成者(100kmサブテン。富士登山競争登頂)。スイス・ブライトホルン。マレーシア・キナバル山。台湾・玉山ニイタカヤマ。南アルプス全山縦走など登山歴も豊富。キャンプ・車中泊マニア。アウトドア派の放浪の旅人。現在、仮想地球一周ランニング中。
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