ウサギとカメ走法【ヤング・シャフル走法】『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬

マラソン・ランニング
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【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者アリクラハルトの人生を旅しながら走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

『車泊でGO!!』YouTube動画 始めました。(grandma-cuisine

書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』著者のアリクラハルトです。

ここではランニング系の本「『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬」の書評をしています。

原題は『FINDING GOBI』です。もちろんディズニー映画『FINDING NIMO』のもじりでしょう。作者はディオン・レオナルド氏。砂漠など過酷な場所を走破するエクストリームランナー(ウルトラマラソンランナー)です。ゴビというのは犬の名前であり、彼が走ったゴビ砂漠から命名された人懐こい野良犬の名前です。

この記事を読むことで、超長距離走を走るということがどういうことなのか、理解できるようになります。

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『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬

イギリス人のディオン・レナード著「『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬」というランニング系の本をご紹介します。

この本は名著『BORN TO RUN』などのように「これはランニングの教科書としてもつかえるなあ」という本ではありません。

ランニングの技術的なことは「大股でドタドタ重たく走るのではなく、ストライドを小さく素早いピッチで走るほうが有利である」ということぐらいしか書いていません。

これは私のウルトラマラソン養成講座でいう『ばあちゃん走法(内股ビッチ走法)』のことです。

ウルトラマラソンの走り方『ばあちゃん走法』(内股高速ピッチ走法)
ウルトラマラソン完走走法『必殺・ばあちゃん走法』とは、女性ランナーのように内股で、おジイちゃんのように細かくピッチを刻むの内股ピッチ走法ことです。筋肉にダメージをあたえないことを最優先に、足を高く上げないように注意して走ります。

「一歩で行くか、二歩で行くか、迷ったときには三歩で行け」という私の好きな言葉も同じ内容を別の言葉で語っているものです。

どうして「ストライドを大きく」ではなく「ストライドを小さく」なのかは、着地の衝撃を抑えるためでしょう。

書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』まえがき
ヘルメスの靴のように、神さまからもらった宙に浮くための装置が、あなたの足には備わっているのです。これからその使い方を教えます……といわれたら、本当に宙に浮くのか、走り出して試してみたいとは思いませんか? これらの表現は、入力ワードです。脳ミソから筋肉への指令が、生き生きとした表現によって活性化して伝わり、速く走ることができるようになります。

アスファルトの走りでこそ豪速のストライド走法は可能なのです。原則として足元は真っ平らで障害物はないことが原則なので、いちいち目で路面状況を確認しません。

オフロードでは基本的にストライド走法はやめたほうがいいでしょう。路面は真っ平らではなく、足元の情報がなければ転んだり足をくじいたりしてしまいます。

地面からの反力を受けて飛び上がるストライド走法は固くて真っ平のアスファルト上でこそ可能な戦闘フォームなのです。

最速のストライド走法フォームの作り方
ストライドは開脚して伸ばすのではなく、宙に浮かんで伸ばします。なぜ「ハサミは両方に開かれる・ヤジロベエ走法」が、速く走れるのかというと、前傾姿勢の「動的バランス走法」よりも、ストライドが伸びるからです。 骨盤・腰椎を立てれば膝が高く上がります。そして落下するあいだもストライドを稼ぐことができるのです。

足の裏が反力の受ける相手が「浮石」だったら大転倒してしまいます。怪我をすれば走行不能ということになりかねません。

不整地ではどんな地形が足元にあるかわかりませんから、いざというときには障害物を跳び越せるぐらいの伸びしろがあったほうがいいのです。これが「ストライドを小さく」ということの意味です。

ウルトラマラソンではスピードよりも疲労しない走りをすることのほうが重要になってきます。

このことは私の書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』でも解説してありますが、遙か昔に、本作『ゴビ』にも出てくるオーストラリアの伝説的なウルトラマラソンランナー、クリフ・ヤングがすでに証明しています。

ウルトラマラソンは旅。才能とか体質とかではなく「慣れ」で完走できる
意識改革が、完走できなかったレースを、完走させてくれます。「走るゲーム」ではなく「バッドコンディションに対処するゲーム」「自分を騙す」ゲームだと頭を切り替えると、競争だったものが、旅という名の関門突破ゲームへと変わります。すると走れなかった距離が走れるようになる奇跡が起きます。
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ヤング・シャフル走法はウサギとカメ走法

ワークブーツを履いた六十一歳のクリフ・ヤングがスピード勝負の陸上の世界で若いアスリートに太刀打ちできるはずがありません。そもそもワークブーツを履いて速く走れるわけがないのです。足首の柔軟性はスピードに決定的に重要です。

弘法は筆を選ばなかったかもしれませんが、ランナーはシューズを選びます。

厚さは速さだ。厚底ランニング・シューズ「ヴェイパーフライ」のメリット・デメリット
このページでは裸足感覚の着地を推奨するランニングのバイブルクリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN』ですっかり悪役にされてしまったナイキが、厚底シューズで薄底シューズに逆襲していく企業の大逆襲劇を描いています。

しかしクリフ・ヤングは想定7日間かかる875kmの大レースに見事優勝します。ウサギのように早いライバルたちに、「寝ずに走り続ける」カメ走法で逆転し、そのままゴールしたのです。

この走法はヤング・シャフル走法と呼ばれていますが、日本人には「ウサギとカメ走法」と呼んだほうがわかりやすいでしょう。

クリフ・ヤングのヤング・シャフル走法は「頭の中の思い込みを取っ払えば大きなことを成し遂げられる」例として今も讃えられています。

他のすべての選手が「明日も走るためには、寝なければならない」という常識の中で勝負していたのに、クリフ・ヤングは「寝ずに走り続ける」ことで勝負に勝ったのです。「寝なければならない」というのは自主規制であり、ルールには書いてありませんでした。

超長距離を走るときには着地の衝撃で体が悲鳴を上げないように、膝を上げずにスリ足のようにして走ります。間寛平さんがアースマラソンの時にやっていたのも、この走り方です。

地球一周ランニング。間寛平アースマラソン(kanpei Earth marathon)
リアル地球一周は、たった一人で挑戦できるようなことではありませんでした。 多くの人たちがサポートしてくれたからこそ、成し遂げられたことでした。 だから彼は心から叫んだのでしょう。おれは幸せ者だ、と。

「ヤングはオーストラリア国民のすべてを鼓舞する存在となっている。誰が見ても打ち勝てそうにない困難に直面した時、ヤングの物語を思い出すとわずかながら希望がわいてくる」

著者のディオンはレース中、クリフ・ヤングの物語を思い出して、心に勇気を取り戻します。

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「『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬」の物語のあらすじ

「『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬」の物語のあらすじは単純です。

砂漠のレース中に野良犬になぜか慕われた著者ディオン。いつかいなくなるだろうと思っていたのが、ずっと付いてきます。眠るためのテントの中にまで入ってくる始末。仕方がないので一緒に眠りました。

次の日もずっと走るディオンに野良犬は付いてきます。

ディオンはレースのコース上にある川の渡渉(エクストリームマラソンにはよくあることです)に差し掛かります。しかし小さな犬のゴビは川を渡ることができません。レースのことだけを考えたら勝手についてきた野良犬のことなど無視して先へと進むべきでしたが、ディオンは引き返して小犬を抱きかかえて川を渡ります。

ディオンはこの野良犬と別れがたい絆を感じて、レース事務局に保護を頼みます。中国ゴビ砂漠の野良犬を、住んでいるイギリスに連れて帰ろうとするのです。

本当に野良犬なのか。誰か飼い主はいないのか。狂犬病などの悪い病気はもっていないのか。何もわかりません。それでも「離れがたくなった」という一点だけでディオンは野良犬を家族にしようと決意します。

野良犬につけた名前がゴビ。ゴビ砂漠で出会った犬だからでした。

しかしイギリスにつれていく前に、野良犬ゴビは逃げ出していなくなってしまいました。中国ウイグル地区には他にいくらでも野良犬がいます。その中でどうすれば特定の犬を見つけることができるでしょうか。言葉も通じない遠い異国の地で一匹の野良犬を再び探し出すことなんて不可能なことのように思えます。

だから原題が『FINDING GOBI』なのです。「ゴビを探せ!」

彼はゴビを探すために、ウラウドファンディングで呼びかけ、資金を調達します。マスコミの取材を受け、現地のコーディネーターに仕事を依頼し、職場に有給休暇を申請して再び中国に旅立ちます。

西欧人の中国滞在記としての読みごたえも十分あります。

ゴビは身代金めあての誘拐ではないのか? 不安と闘いながらディオンはとうとうゴビをイギリスの自宅へと連れ帰ってハッピーエンドの物語を成し遂げるのです。

「『ゴビ』僕と125キロを走った、奇跡の犬」では物語の前半こそ「なぜか野良犬に慕われて」一緒にウルトラマラソンを走るレース模様が描かれますが、後半は「いなくなった」ゴビを探すための冒険物語になります。

ランニングの話が半分、犬探しの冒険が半分、です。

本書はランナーだけでなく、海外旅行好き、動物愛好家にも面白く読める作品だと思いました。

とくに保健所犬の殺処分などの問題に関心のある人には読んで損のない本だと思います。

この本は、作者自身が言っているように「小さな犬が、なぜか僕を選び、ついてきて、そのまま離れなくなった、という物語」でした。動物好きにはたまらない、心温まる物語でした。

人間と犬というものは、本当に不思議なものですね。

※本は電子書籍がおすすめです。

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