どうもハルトです。みなさん今日も楽しい自転車ライフを送っていますか?
ここは往復30kmの通勤バイク生活をすることになった筆者が、晴れの日はロードバイク、雨の日はママチャリと自転車を使い分けて、自転車操業の毎日をひいこら乗り越えていくというページです。
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このブログの作者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』のご紹介
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードをガチンコで競うようになるところまでを描いた自転車エッセイ集です。
※書籍の内容
●スピードこそロードバイクのレーゾンデートル
●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。体重ライディング理論。体重ペダリングのやり方
●アマチュアのロードバイク乗りの最高速度ってどれくらい?
●ロードバイクは屋外で保管できるのか?
●ロードバイクに名前をつける。
●アパートでローラー台トレーニングすることは可能か?
●ロードバイククラブの入り方。嫌われない新入部員の作法
●ロードバイク乗りが、クロストレーニングとしてマラソンを取り入れることのメリット・デメリット
●ロードバイクとマラソンの両立は可能か? サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?
●スピードスケートの選手がロードバイクをトレーニングに取り入れる理由
初心者から上級者まで広く対象とした内容になっています。
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人事異動によって勤務先が変更になったら通勤バイク(ロードバイク通勤)をはじめよう
ロードバイク通勤実践講座。冬(寒いよ)、夜(暗いよ)、雨(冷たいよ)、虫害の四重苦に耐えられるか?
使いたい時にいつもママチャリはパンクしている。パンクしない自転車のメリット・デメリット
進めど進めど同じ景色がつづく河川敷のロードバイク通勤は飽きる
さて往復30kmの通勤バイク生活をはじめた私ですが、最初の頃こそパンクに怯えたり、そもそもロードバイクに乗ること自体はじめてですから、とても新鮮でした。
スーパーマンが飛ぶみたいな極端な前傾姿勢を楽しんだり、ママチャリではありえない高速走行を楽しんだり、とても楽しかったことを覚えています。
しかしすぐに楽しいとばかり言っていられないようになりました。そもそも通勤ですからこれから仕事に行くわけです。遊びに行くわけではありませんから楽しいはずがありません。気分の乗らない日も雨の日も風の日も通勤バイクには乗らなければならないのです。
ロードバイクに乗ることも、毎日乗っていると、やがて飽きが来ます。とくにこの気持ちに拍車をかけたのが、私の通勤ルートでした。
私の通勤ルートのほどんどを占めたのが河川敷の自転車歩行者専用道路でした。江戸川サイクリングコースが通勤の主たるルートでした。
サイクリングコースで通勤だなんて楽しそうでしょ? そう思うんですよ、実際に体験していない人は。
サイクリングロードは、平坦で、一直線だし、信号もないし、スピードを出すには最高の環境でした。
しかし毎日続ける通勤ロードの場合、それが逆にあだになります。
平坦ということはギアチェンジをすることはないということです。一直線ということはハンドル操作をすることがないということです。信号がないということはブレーキを踏むことがないということです。
ゆいいつ楽しめるのはスピード感だけですが、河川敷のサイクリングロードというのは、ほどんど景色が変わらないので、スピード感というものもあまりありません。どれだけ速く進んでも周囲の景色が同じではそのうち嫌になってしまいます。
実は江戸川も下流の方ならば、海が近づくにつれてクルーザーや屋形船が係留されてリゾート感がでてきます。いわゆる天井川となってひじょうに面白くなります。最終的には東京ディズニーランドや葛西臨海公園が見えてきて面白いサイクリングコースなのですが、上流の方は何もないので漕いでも漕いでも「河川敷」な風景が続いて、ぜんぜん変わらないのです。
※天井川とは? 川に流れる土砂によって川底が高くなる → 堤防を高く補強する → 川に流れる土砂によって川底がさらに高くなる → 堤防をさらに高く補強する を何度も繰り返すことによって、やがて周囲の地面の高さよりも水面が高くなってしまった川のことを言います。地面よりも水が高いのでダムみたいになっていて、市街地の河の下流にしか見られない珍しい風景のことです。
たったひとりで、これから仕事に行くという条件で、河川敷サイクリングロードをひたすら往復するというのは、慣れてくるとひじょうに退屈なものでした。
速度計サイコン(サイクルコンピューター)をつける
まず私が考えたのはロードバイクそのものを「遊べる道具」に改造しようということでした。しかし
サイクリングロードは、平坦でギアチェンジをすることはないし、一直線でハンドル操作をすることがないし、信号がないからブレーキを踏むこともありません。
こんな条件の中でロードバイクを「遊ぶ道具」にする方法は……ありました。それが速度計、いわゆるサイクルコンピューター(サイコン)をつけることです。
サイコンはホイールの直径と回転数を計測することで、航続距離やスピードを表示してくれる機械です。最近ではGPS機能のついた高機能なものまであります。
これによって私はまるでオートバイに乗っているかのように自分の巡航速度がわかるようになりました。速度計は退屈を紛らすには最高のオモチャでした。
たいてい「退屈だあ」と感じている時には、スピードも出ていません。今日は昨日よりも疲れているなあと思うと、そのとおりスピードも出ていません。でも数値ではっきりスピードが表示されると「気のせいか」ではすまされません。じゃあちょっと気合いを入れて漕ぐか、と脚に力を込めると、速度計の数字がみるみる大きくなります。スピードメーターを見るのは楽しかったです。
このスピードプレイに夢中になって、自分史上最高速度を出そうと、これから仕事があることも忘れて、死ぬ気で漕いだ朝もありました。
自転車(ロードバイク)『人類最速ウサイン・ボルトよりも速く』速く走るための唯一の方法
通勤ロードバイクに退屈している人にはサイコンの設置をおすすめします。それだけで急にロードバイクが楽しくなりますよ。
ロードバイクが、クロスバイクやマウンテンバイクに追い抜かれるというのは「恥」
サイクルコンピューターで自分のスピードを計測して、自分のスピードに自信がついてくると、自分がどれだけ速いのか試してみたくなります。私はロードバイクに乗っている以上、クロスバイクやマウンテンバイクに抜かれるのは恥だと考えていました。
ロードバイクはカゴや泥除けやスタンドなどあらゆる装備を取り払ってスピードを出すためだけに特化した自転車ですから、いくら通勤とはいえ、クロスバイクやマウンテンバイクに追い抜かれるというのは「恥」かしいことだと通勤当初から意識していました。
たまたま市街地の交差点でクロスバイクやシティサイクルなどと信号青待ちで並んでしまうことがありましたが、必ずすべてを抜き去ることにしていました。こっちが速くてあたりまえ。クロスバイクに抜かれてそのままなんてなんのためにロードバイクに乗っているのかわかりません。ロードバイクに乗っている以上、すべての他のジャンルの自転車を抜いていました。遅れをとったことはただの一度もありませんでした。
※私はマラソンを走れば2時間台のシリアスランナーだったこともあり、そもそもロードバイクに乗り始めた当初から速かったです。「おれが走り勝ってあたりまえ」というスタンスでした。
自転車(ロードバイク)とランニングの両立は可能か? サブスリーランナーはロードレーサーに乗っても速いのか?
通勤ロードバイクの中で最速を目指す。草レース。通勤レースをはじめる(通勤バイクレースごっこ)
「恥」という感覚から、シティサイクルやマウンテンバイク、クロスバイクなど他のすべての自転車を抜いてきた私です。
さて、ロードバイクの本当の敵はロードバイクです。いよいよ頂点の自転車どうしの対決です。まあロードバイクに抜かれることは恥ではありません。勝敗は時の運ともいいます。いよいよ私は河川敷のサイクリングロードで本物のロードバイクと頂上決戦をすることにしました(あくまで通勤です)。
河川敷には私の他にもロードバイク通勤をしている人がたくさんいました。退屈な通勤バイク生活の次の刺激は、この通勤ロードバイクの中で最速を目指すことでした。
自転車と名のつくものには誰にも抜かれず、すべて抜き去る、という草レースの開幕です。(そういう刺激に満ちた通勤をしようという遊びを自分の中で思いついて実行したということです)
基本的に同じ方向に向かう河川敷のロードバイク同士は、よほどのスピード差がないかぎり、一定の距離を保ったまま職場にコースアウト(職場に到着)するので出会うことはありません。しかしそれでも時々、側道からサイクリングロードにコースインするタイミングで、近い距離で走るような場面に遭遇します。
こうなった時がバトルスタートです。さあ開幕のゴングが鳴りました。カーン!!
先行車が近くを走っていたら死ぬ気で抜きます。後続車が近くを走っていたら意地でも抜かれないように走ります。
こちらは通勤用のプロペラ戦闘機(アルミ製の廉価なロードバイク)でしたが、通勤なのにジェット戦闘機(カーボン製高級ロードバイク)に乗っている人もたくさんいました。
毎回、バトルして顔なじみ(自転車なじみ)になった人もいます。通勤バイクなのでどうしても行きかう時間が同じになるから、遭遇する人も同じ場合が多いのです。
ビアンキ、ジャイアント、メリダ、キャノンデールなど、私は数々のジェット戦闘機を撃墜してきました。(と、いう通勤バイクレースを楽しんでいたという話しです)
通勤時間がいつもより5分早かったり、5分遅かったりすると、これまでとは違ったロードバイク通勤者と出会いました。するとまた新しいバトルが始まったりします。
また時々、平日の勤務日なのに、明らかに通勤ではないホビーレーサーが軽快にロードバイクを走らせていることがありました。有給休暇でもとったのでしょう。
こういう人には抜かれてはじめて気づきます。さあ、バトル開始です。通勤族の意地にかけて負けられません。これから遊びに行くなんてふてえやろうだ。こっちはこれから仕事なんだよ。コノヤロー負けねえぞ!
いつもの通勤者とは違って、趣味で乗っているホビーレーサーは強敵でした。出会ったデローザやピナレロなどは、必死で漕いでも追いつけないこともありました。通勤者と違い、ホビーレーサーは速いのです。
そういう場合は長距離戦にもちこみ、コースアウト直前(職場が近い)に死ぬ気でスパートをかけて追い抜くというギリギリの勝負を展開していました。勝ち逃げというやつです。(と、いう通勤バイクレースを楽しんでいたという話しです)
通勤ロードバイクの魔改造。ペダルの進化
風景の変わらない退屈な通勤ロードバイク生活を乗り切るために、このように通勤バイクレースごっこを私ははじめました。
通勤レースでは常に勝ちをおさめていたものの、ギリギリだったことは何度もありました。そのたびに私のロードバイクには改造が加わっていきました。
脚力は簡単に向上しませんが、ロードバイクの改造には即効性があります。とくに私のアルミ製ロードバイクには改造の余地がたくさんありました。
トゥ・クリップを導入する
当初、フラットペダルだった足元には、トゥ・クリップを導入しました。これでいちおう引き足が使えるようになりました。
長年のランニング生活の中で、引き足の重要性にはとうに気づいていたからです。
逆説のランニング。ストライド走法の極意「ハサミは両方に開かれる走法」
トゥ・グリップを導入したことで、私のスピードはさらに上がりました。
しかしそれでも厳しすぎる通勤レースになることがありました。たいていの場合、強敵はいつも趣味のホビーレーサーでした。おれにも有給休暇くれっちゅーの!!
ビンディングシステムを導入する
「通勤レース無敗」を誇っていた私ですが、これでもいちおう通勤なので、ビンディングシューズには抵抗がありました。抵抗というか、会社に対する遠慮というか。あきらかに仕事に行く格好から逸脱しているというイメージがあったのです。
しかしある日、トゥ・クリップでも、心臓と肺が破裂するほど漕がないと勝てない強敵のホビーレーサーと競争した結果(死ぬ気で勝ちました)、ついにはビンディングシステムを導入することを決意します。このままでは勝ち続けられません(あくまでも通勤です)。
仕事に使う革靴は職場に置いておきます。そして通勤はビンディングシューズで通いました。これによって私はさらに速く走れるようになりました。そして一般的に通勤と呼ばれるものから限りなく遠ざかっていきました。
いつしか夏場はサイクルパンツを履くようになっていました。上着はTシャツでした。サイクルジャージではなかったのは常にサイクリングパックを背負っていたからです。これでサイクリングパックを背負っていなかったら誰も私のことを通勤だとは思わなかったでしょう。
通勤ですが、ウサイン・ボルト(時速44.4km)と勝負するようなスピードでスピードプレーをしているとどうせ汗でビシャビシャです。どうせ職場で着替える前提なので「通勤はどんな格好でもいいや」というような心境になっていきました。
パワーメーターを導入する
ここまでやっても通勤バイクが退屈だという人にはパワーメーターの導入をおすすめします。
パワーメーターとは、自転車を漕ぐパワーの大きさを、金属のゆがみ、ひしゃげによって測ることができる装置です。左右のペダルにかかっているパワーや方向などもわかるので、自分のペダリングを客観視することができるのです。
ペダルを回すペダリングスキルを向上させて、ペダルを左右均等に効率的に回せるようになれば、さらに速くロードバイクを走らせることができるようになります。
スマホに記録したり、データをグラフ化したりもできるので、通勤トレーニングのモチベーションが爆上がりします。
通勤レースの戦績が「全勝無敗」だった三つの理由と二つのからくり
このようにロードバイクそのものを進化させていくことで、私の通勤スピードはどんどん速くなっていきました。その結果、私の通勤レースの成績は「全勝無敗」でした。この競争は本当に面白かったです。退屈しないですみました。
「江戸川左岸の撃墜王」を自称して悦に入っていましたが、この全勝無敗にはもちろん理由があります。三つの理由と二つのカラクリが存在します。それをここにお教えしましょう。
理由の一つめは、そもそも私に実力があったことです。ランニングだったら走友会でいちばん速く走れる実力があるのに、同じ有酸素運動であるサイクリングでめちゃくちゃ遅かったら、ランニング業界に対して申し訳がありません。おれが勝って当然、というスタンスでした。
自転車(ロードバイク)『サイクルフルマラソン』夢のサブワンを狙え!
理由の二つ目は、このレースは一方的な競争だったということです。ときどき明らかにこの競争に応じてくる人もいましたが、基本的には相手にその意識があったかは微妙なところです。こちらは競争のつもりで走っていましたが、向こうにその気はなかったかもしれません。
理由の三つ目は、常に勝ち逃げをしていたということです。こっちは通勤ですから職場近くでサイクリングロードはコースアウトしなければなりません。つまりそこがこちらのゴールということです。相手のゴールはそこではありません。もっと先です。コースアウト直前でスパートをかけて追い抜けば、常に勝ち逃げできたのです。
最初のからくりは、通勤レースというのは基本的にはいつも同じ人との勝負だということです。会社の始業時間は同じで、通勤コースも同じですから、会う人も同じなのです。だから勝てる相手には何度勝負したって毎回勝てるというカラクリです。はじめは競争に応じていたライバルたちも、やがて私にはかなわないとわかると、諦めて競争に応じてこなくなります。あっさり道を譲ってくれます。ときどき有給休暇のホビーレーサーが立ちふさがるにすぎません。
二つ目のからくりは、私の通勤コースが同じ江戸川左岸でもかなり上流の方だったということです。さきほど述べたように同じ江戸川でも下流に行くほど面白くなるし、通勤人口も増えます。ロードバイク乗りも下流に行くほど強い人が多いはずです。逆に上流に行くほど強敵は減るはずです。私が走っていたのはかなり上流の方でした。それが全勝無敗のからくりでした。
今、わたしはまた職場の人事異動により別の職場へと移動になったので、通勤バイクはしていません。
弱虫ペダル(グランマ・ギア)なんかくそくらえ! アウタートップで力の限りガシガシ押していく
このページでは、河川敷サイクリングロードの通勤バイク生活が意外と退屈だということについて述べました。そしてその退屈を紛らわせるための対処方法として、ロードバイクの魔改造と、通勤レースを提案しました。
片道15kmの通勤自転車(ロードバイク)において、全勝無敗で通勤バイク競争を終えた私が、そのスピードにこだわった履歴について語っています。
どちらも本当に楽しかったです。私の通勤ロードバイク生活は、ロードバイクの魔改造と、通勤レースを抜きには考えられません。
とくに趣味のウイークエンド・ホビーレーサーは本当に強敵でした。そもそも乗っているロードバイクが「通勤用」とは違いました。
通勤のためザックを背負っている私に抜かれると「生意気な」とばかりに抜き返してきます。たまりません。早朝から血の味がするような過酷なレースがはじまりました。こっちもですが、向こうも楽しかっただろうと思います。まさに草レースでした。
しかし私は彼らすべてを打ちりました。一定の期間、一定のルートという条件つきですが、通勤の河川敷では、全勝無敗の撃墜王でした。戦闘機スピットファイアに恥じない成績を残しました。
ランニングの世界で「ピッチ走法なんかくそくらえ! 力の限りジャンプしてサブスリーをやってやる」とストライド走法で走ろうとした経験がなかったら、全勝無敗の記録は途絶え、どこかで負けていたと思います。
マラソン『ピッチ走法よりもストライド走法』ダメージなんか度外視して走れ
弱虫ペダル(グランマ・ギア)なんかくそくらえ! アウタートップで力の限りガシガシ押していくことで、私は全勝無敗の江戸川左岸の撃墜王になりました。
けっして軽いギアを高速回転させてなしとげた常勝無敗ではありません。
そのことをここに書き残しておきたいと思います。