旅するとは歩くこと。歩行術

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どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?

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走るのは速いのに、歩くのは遅いという「謎」

遅いよ~。はやく! ハルト」

と、ソウルの街角でイロハが振り返っていった。言葉が刺さる。

「しょうがないだろ! 見るもの見るものいちいち思い出が走馬灯のようによみがえってくるんだから」

おれはなんとかごまかそうとする。それは嘘ではなかった。景徳宮を見ても、李舜臣将軍の銅像を見上げても、ナムサンタワーを見ても、いちいち幼い頃の思い出がよみがえってくるのだ。ただの場所ではない。ここはソウル。第二の故郷なのだ。

「走馬灯って死ぬの? 歩くの遅スギィ~! あんまり遅いと疲れちゃう」

イロハはおれと違って何の感慨もない。ただの旅行先だ。ソウルの街角をスタスタと歩いていく。おれは何でもないものに気持ちが引き寄せられて思い出がフラッシュバックしたりするのだ。いちいち物思いにふけっていたら、歩くのが遅くなって当然だ。ソウルは素通りできない。

しかし本当は知っている。歩くのが遅いのは第二の故郷を歩いているからだけではない。言葉が刺さったのは、普段から気にしていたことをいわれたからである。確かに歩いていると人に抜かされるのだ。日本でも歩いていると人に抜かされる。「歩くのが遅い」。自分でもそのことに気づいていたからこそ、イロハの言葉を無視できなかったのである。

「ハルトのペースに合わせて歩くと疲れちゃう。サクサクとリズムよく歩かないと却って疲れるのよ。自分のペースってあるじゃない」

まるでマラソンランナーのようなことをイロハはいう。たしかにペースを落として走ると疲れる。歩くのも走るのと同じか。

走ったら自転車を追い抜いちゃうほど速いのに、なんでそんなに歩くの遅いの?」

サブスリーランナーはスピードランナーである。止まっていたらとても維持できないような動的バランスを維持しながら飛ぶように前に進む。なんで速く走れるのか、と聞かれたら、いくらでも答えることができるが、なんで歩くの遅いの? といわれても答えられない。

しかし……やっぱり、おれ、歩くの、遅いのか。

あらためて他人に指摘されると、ショックな出来事であった。

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サブスリーランナーは歩いても速いのか?

スピードランナーとしてご近所じゃ有名な存在であるおれが、どうして歩くのは遅いのか? 実際、走れば、その辺にいる人たちの誰よりも速いのだ。なのにどうして歩くのだけが遅いのか?

謎である。

旅をするのに健康は欠かせないが、特に大事だと思っているのは足腰である。さすらいの旅とは歩くことだ。旅の間はほとんど歩いている。歩行術は旅人の無視できない技術だ。

放浪の旅人に歩くことが嫌いな人はいないのではないだろうか。歩くことが旅することだ。

この謎を解いてやろうとおれは思った。いわばサブスリー養成講座のテクニックを応用してウォーキングを解析しようという試みである。

ランニングもウォーキングも、スピードの公式は変わらないはずだ。二足歩行のスピードというのは、ストライド×ピッチの掛け算である。単純なのだ。

おれは自分の歩きのリズム(ピッチ)をイロハや他の人と比べてみた。ピッチはそれほど人と変わらない。それなのにオレの歩くスピードが遅いとすれば、ストライドに原因がある。

そこまで分析して、自分がどうして歩くのが遅いのか、理由が分かった。

自分のこれまでの快走ランニングが、あるいは登山家としてのキャリアが、歩くのが遅い原因だったのである。

サブスリーランナーは歩いても速いのか? その答えはノーである。サブスリーランナーは歩くのが遅い。答えは靴底と地面の接地にあった。

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登山の着地も前足部(フォアフット)から。

たとえば山登りをする時、登山靴の踵から着地をする人は上級登山者とはいえない。

実験してみよう。階段でもいい。階段を登るとき、ひとつ高いステップにはつま先から着地するはずだ。踵から着地はしないだろう。

下山する時も、ガツン、ガツンと踵から着地する人は初心者である。上級者はつま先から着地して膝への衝撃を吸収している。

木の根でも石でも山の道は濡れていると滑りやすい。しかしつま先着地をすれば、万が一、滑っても踵をスパイクのように打ち込んでこらえることができる。

これが踵着地だとすってんころりと転倒するしかない。

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踵落としを効果的に決める・走法

前足部フォアフット着地。これが速く走るためのキーワードでもある。

畑を耕すとき、鍬を振り下ろしてたくさん土を掘り返すには、どうしたらいいか考えてみよう。

答えは簡単だ。高く振り上げスピードをつけて掻き戻せばいいのである。

クワでたくさん地面を掘り返すのと同じ方法論で、速く走ることができる。

速く走るためには、前に振り上げた脚をスピードをつけて掻き戻して、勢いをつけて着地すればいいのである。これをおれは『踵落としを効果的に決める・走法』と呼んでいる。

空手の「踵落とし」というキックはスピードゼロの上死点では破壊力がない。スピードこそがパワーなのだ。そのパワーを大地に加えて宙に浮く。それがランニングである。

気に入っている命名「踵落としを効果的に決める・走法」。だが、ひとつだけ気になるところがある。それは実際には踵着地ではない、というところだ。空手の「踵落とし」は踵で打撃するが、「踵落としを効果的に決める・走法」は踵から着地しない。着地するのは前足部フォアフットである。

これがサブスリーランナーの靴底だ

だからサブスリーランナーの靴底は前足部がズタボロになる。フォアフットの外側が最初にダメになるのである。

上級ランナーは自分の走りを靴底でチェックする。フォアフット外側がボロボロになった靴底を見てほくそ笑む。いい走りができたことの証明でもあるのだ。靴底の前半分がボロボロになったシューズは、アスリートのプライドでもあるのだ。

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ヒールストライク・ウォーキング

登山家としても、サブスリーランナーとしても、常にフォアフット着地をしてきたおれは、歩くときも当然フォアフット着地をしていた。

フォアフット着地こそ膝への衝撃を緩和するということであり、効率的に前に移動するということであったのだ。

だから歩くときもフォアフット着地だったのだが、これが決定的におれのウォーキングのストライドを短くしていた。そのために歩くのが遅かったのである。

ためしに膝を伸ばして踵から着地したらストライドが伸びて、周囲の人と変わらないスピードで歩くことができた。

「踵落としを効果的に決める・走法」でフォアフット着地をするのは、戻ってくる足にスピードをつけて大地を蹴って空を飛ぶためである。

宙に浮いてこそストライドが伸びるのである。走るとは飛ぶことだ。

しかしウォーキングは宙に浮かない。宙に浮かないのにフォアフット着地するのは、ただストライドを狭めるだけである。

むしろ膝を緩めて伸ばし、踵から着地してストライドを伸ばした方がいい。やはりウォーキングとランニングは似て非なるもの、なのである。

そもそも初心者のランナーが踵着地(ヒールストライク)なのは、身体に慣れ親しんで染みついたウォーキングの踵着地がまだ抜けきらないせいなのかもしれない。それが走り込むことによって、前足部着地(フォアフット走法)を覚えて速く走れるようになる。ところがそのせいで歩くのが遅くなる……。

なんて矛盾だろう。速く歩くためには、再び初心者ランナーのように踵着地に戻さなくてはならないのだ。

しかしスピードのためにはやむをえない。歩くときはフォアフットは捨てて、踵着地を意識しよう。これをヒールストライクウォーキングと命名する。

あるいは『踵落としを効果的に決めるウォーキング』とでも命名しようか(笑)。

さてアスリート癖がついたフォアフット着地。元に戻せるのか?

大地から生まれた巨人アンタイオスは、大地に足が着いている限り力を大地から得て、どんなに弱っても大地に足を着けるとすぐに力を回復したという。

もはや宙に浮けなくなっても、大地に足が着いている限り、前に進むことができるのだ。

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旅するとは歩くこと。歩くことが旅すること。生きるとは歩くこと

いつかある日、歩けなくなる日が来たら、この旅も終わりだ。歩行術も奥が深い。

旅するとは歩くことだとすれば、生きるとは歩くことなのかもしれない。

※このコラムの姉妹記事『サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?』はこちらからご参照ください。当サイト最高のPVを誇るコラムはこちらからどうぞ。

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プロフィール


温人ハルト。雑誌『ランナーズ』等に執筆歴のある物書き。サブスリーランナー。グランドスラム達成者(100kmサブテン。富士登山競争登頂)。スイス・ブライトホルン。台湾・玉山。南アルプス全山縦走など登山歴も豊富。キャンプ・車中泊マニア。西天取経の旅人

このサイトについて

はたして放浪のバックパッカーは社会復帰できるのか!? 自由と社会との折り合いを模索するブログです。

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